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海苔弁のみで月商1100万円、究極の超専門店!
店舗ナンバーワンホールディングス株式会社 代表取締役 三浦 正臣
「海苔弁いちのや」を読者の皆さんはご存知だろうか? 私も最近知ったばかりなのだが、実際に取材してみて、驚きの連続だった。
商品の種類はたった一つ。「海苔弁」である。価格は税抜き1080円(名物海苔弁)。「季節の海苔弁」と「追加のおかず」も用意されている。テイクアウト・宅配のみで、靖国通り本店の月商は1100万円だ。店舗は8坪なので、坪売上は138万円である。
海苔弁いちのやは現在32店舗(直営16店、FC16店)。店舗の広さは5~8坪で、平均月商は900万円だ。経営理念・コンセプトは「元気の源、食の欲」。
今月は、究極の超専門店を立ち上げた、店舗ナンバーワンホールディングスの三浦正臣社長にお話を伺った。
土木作業員から、上場企業最年少役員へ
三浦社長は父子家庭で育った。安アパートでの2人暮らしだった。父親は引っ越し屋に勤めていたため、アルバイトの従業員が休むと、中学生の三浦少年も仕事に駆り出された。だが父親と過ごした時間は貴重で、今も宝物だという。
ある日、帰宅すると父親がアパートで亡くなっていた。中学3年生の時だ。児童養護施設に入る
か生活保護を受けながら自立生活するかの選択を迫られ、自立の道を選んだ。父と同じく引越し業で働きながら、定時制高校に通った。
高校卒業後、稼げると誘われて建築現場での仕事に就いた。地下20メートルで穴掘りをする大変な仕事だったが、がむしゃらに働き、19歳で50万円を稼ぐまでになった。爪の中まで泥だらけの毎日だった。そんなある日、池袋の現場で夕日に照らされて輝く六本木ヒルズに目をやり、その美しさに思わず魅入られた。このビルの中でスーツ姿のビジネスマンがかっこよく働いているんだろうなと思った。でも住む世界が違うと感じた。
あるとき後輩から転職情報誌を見せられた。「兄貴、そろそろ仕事変えをしようよ」と後輩は言う。憧れのスーツ姿がふと思い浮かんだ。
その情報誌の中に、「学歴不問、18歳以上、やったらやっただけ稼げる」と大きくうたっている企業があった。その言葉以外は難しくて、何が書いてあるかわからなかった。
その企業に電話をすると、とりあえず面接をと言われた。人生で初めてスーツを着て、池袋の本社に向かった。ロン毛で眉毛もなかった。8階建てのビルの前でひるんでいると、当時付き合っていた彼女から「行ってこい」と背中を押された。
それは、後に店舗流通ネット株式会社となる会社で、中古店舗の流通事業(スタートアップ)を行っていた。履歴書を出した途端、大爆笑された。特技はアーク溶接と玉掛け、長所は寝坊しないこ
とと根性があることだと書いたためだ。これまでの人生を正直に語った。面接は1時間半に及んだ。
面接の後、彼女と一緒にこれまた人生初のスターバックスに入った。町田住まいだったが、もし受かったら山手線内の住人になれるのかなと思った。合否の通知日には穴掘りの仕事があり、地下では電波が届かないためPHSを彼女に渡して仕事に出た。帰宅すると、彼女がケーキを用意して待っていた。受かったのだ! 106人中、合格者は5人。「これでスーツを着て働ける」と思った。22歳の時である。
社内には「なんでヤンキーを採用するんだ」と言う声も多かった。仕事はテレアポ。タウンページを見て片っ端から電話営業だ。給与は15万円。他の社員が帰った後も、真っ暗なオフィスで仕事を続けた。テレアポの件数は毎日800件を超えた。
翌月から23ヶ月連続営業成績トップになり、その当時で月に1億円の利益を叩き出した。給与も役職も天井知らずだった。24歳の時、店舗流通ネット株式会社が名古屋証券取引所セントレックスに上場し、三浦青年は当時最年少で上場企業の役員になった。学歴もなく勉強したこともなかった青年が、凄まじい努力で才覚を発揮し、上へと駆け上っていったのである。
店舗流通ネットは、日本初の業務委託型飲食店経営ビジネス(出店支援)を行うベンチャー企業で、株価時価総額も高かった。取締役となった三浦氏は、店舗流通ネットで1600件もの店舗をオープンさせた。その後逆風が吹き、幹部さえも辞めていく中で彼は残った。三浦取締役が採用した13人の新人たちがいたから、会社を潰すわけにはいかなかったのだ。全員辞めずに付いてきてくれて、みんな成長した。
あるときその新人たちから「俺たちはもう大丈夫ですから、好きなことをやってください」と、退職勧告されたという(笑)。三浦氏はその言葉で退職を決めた。彼らは後に全員、有名企業の社長になったそうだ。
高級海苔弁専門店いちのやの成功
その後、大手チェーン企業のオーナーと海外を視察。バンコクの店舗の内装のカッコ良さや、誇り高く仕事をしているパリの飲食店スタッフの心意気などに刺激を受けて、店舗プロデュースの会社を立ち上げた。三浦社長の誕生である。これまで誰も見たことがないような飲食店を作ろうと思った。飲食店経験がない人のために内装デザイン、ユニフォーム、看板、ショップカード、メニューのレシピなどを用意し、100店以上の飲食店を次々と成功させた。2019年、世界はコロナ禍に見舞われた。居酒屋には全くお客様が来なくなり、ほとんどの店がクローズした。しかし従業員を解雇するわけにはいかない。そして2020年7月1日、海苔弁いちのや靖国通り本店がオープンする。
海苔弁のヒントは出張時に東京駅で買う弁当にあった。部下の分も買うと8000円。レジでわずか30秒のやり取りで8000円である。「居酒屋に4人で2時間いて1万円」と比べたらひどく効率的だ。この弁当、冷えていてもご飯は美味いが、冷えた牛肉は美味いと思えない。弁当というのは、フタを開けた途端、中身の全てがホームランバッターとして輝いているべきだと三浦社長は考えた。
海苔弁いちのやを立ち上げる前に役員会で「海苔弁を1080円で発売する」と言った時には、全員から反対された。銀行出身の監査役から「なぜ海苔弁を1080円で売りたいのか?」と問われ、三浦社長は「海苔弁を1080円で売りたいのではない。1080円でも売れる海苔弁を作るのだ」と答えた。
全員に反対されて、がぜん燃えてきた。まず新潟へ行き、銀行で老舗の漬物屋を教えてもらうところからスタート。昔から雪国に伝わる伝統の野沢菜を卸してもらうことになった。白身フライにするのは静岡で水揚げされた肉厚の白身魚。米は新潟産新之助。ちくわは宮城県塩釜の磯辺揚げ丸ごと1本。玉子も野菜も肉も、全てホームランバッター級だ。もちろん弁当箱にもこだわった。こうして数々のこだわりが詰まった、1080円でも喜んで買いたくなる価値ある弁当ができ上がったのである。(現在は1200円)
当初は月に400万円売れればOKと思っていたが、初月600万円、半年後には700万円、さらに800万円と伸びていった。リピーターも増えて現在は1100万円。大成功である。
海苔弁いちのやの現在の客単価は4500円。「海苔弁1個ください」と言うお客様はほとんどいない。たいてい複数個を買っていく。ロケ弁で100〜200個の注文が入ることもある。弁当は積み置きだからすぐに渡せる。ギフトの需要もある。
海苔弁いちのやのストロングポイント
1.商品は海苔弁のみ
海苔弁のみだから食材が限定され、仕入れのムダがない。2.営業時間は11時〜18時
7時間営業で、靖国通り本店は月商1100万円。売り切れ御免だからロスはゼロ。3.1店舗で複数店分の海苔弁が作れる
1店のキッチンで商品を作り、デパ地下などへ配送できる。4.初期投資1500万円
加盟金300万円、保証金100万円、研修費50万円などを含めても1500万円で出店できる。坪数は5~8坪。投資回収は1年半だ。5.FC研修1週間
研修は2人で1週間。キッチンには包丁もないため、3~4日で研修が終了することもある。出店立地はビジネス街、駅ビル、デパ地下が多い。フランチャイズは募集していなかったが、FCの口コミで増えていったと言う。FCオーナーが新しいFCオーナーを連れてくるのだ。
今年から始まった「第1回ロケ弁大賞」では金賞を受賞した。
ヒットを生み出す方程式は、「味×デザイン×戦略」と三浦社長は言う。次の一手を伺うと、「箱にこだわった団子、9個1000円」とのこと。たっぷりのこしあんの上に団子を敷き詰めるという。「海苔弁2つと団子1つください!」、これで決まりだと三浦社長は笑う。
現在32店舗。来期の計画は65店舗。目標は100店舗。チェーン志向があるわけではない。「一店一店、街に愛される店を作っていきたいのです」と、熱く語ってくれた。
開業資金と収益モデル
<開業資金>加盟金 | 300万円 |
保証金 | 100万円 |
研修費 | 50万円 |
設計管理工事費 | 1050万円 |
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初期投資 | 1500万円 |
<収益モデル>
売上高 | 900万円(100%) |
原価 | 315万円(35.0%) |
人件費 | 180万円(20.0%) |
家賃 | 45万円(5.0%) |
ロイヤリティ | 27万円(3.0%) |
看板代 | 10万円(1.1%) |
その他経費 | 53万円(5.9%) |
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償却前利益 | 270万円(30.0%) |
【企業情報】
社 名 店舗ナンバーワンホールディングス株式会社
設 立 2017年8月15日
所在地 東京都千代田区九段南2-2-5 TNIビル
TEL 03-6256-8111
FAX 03-6256-8117
URL https://tenpo-no1hd.com/